STAP細胞をめぐる陰謀論とハーバード大学の特許申請についての噂

2014年1月、理化学研究所の発生・再生科学総合研究センター（CDB）に所属する小保方晴子氏らの研究チームが、マウスの体細胞を弱酸性溶液に浸すだけで多能性を持つ細胞に変化するという「刺激惹起性多能性獲得（STAP）」細胞の作製に成功したと発表しました。
この発表は、世界中の科学界に衝撃を与え、再生医療への応用やノーベル賞受賞も期待されるほどでした。
しかし、論文発表直後から画像の改ざんやデータの捏造などの疑惑が浮上し、理化学研究所による調査の結果、研究不正が認定されました。 最終的にSTAP細胞論文は撤回され、STAP細胞の存在自体も疑問視される結果となりました。   

このSTAP細胞事件は、当初、画期的な発見としてメディアに大きく取り上げられ、国民の期待も高かっただけに、その後の不正発覚は社会に大きな衝撃を与えました。

STAP細胞をめぐる陰謀論と様々な噂

STAP細胞事件は、多くの謎を残したまま終結しました。そのため、事件の真相について様々な憶測や陰謀論が生まれました。

陰謀論とその背景

STAP細胞事件に関する陰謀論は、大きく分けて以下の3つの種類に分類できます。

1. 小保方氏は陰謀の犠牲者である

   この陰謀論では、小保方氏は実際にSTAP細胞の作製に成功していたものの、何らかの陰謀によって研究成果を奪われた、あるいは潰されたと主張します。

   この説の背景には、小保方氏が若くして画期的な発見をした女性研究者であったこと、そして、事件発覚後、マスコミによってバッシングを受けたことなどがあります。
   これらの要素が、彼女を「悲劇のヒロイン」として描く陰謀論の形成に影響を与えた可能性があります。

   陰謀の黒幕としては、既存の再生医療研究を推進する勢力や、STAP細胞の特許権を狙う企業などが挙げられています。
   また、一部では、理化学研究所内部の権力闘争が原因で小保方氏がスケープゴートにされたという説も存在します。

2. STAP細胞は実際に存在する

   論文の不正は認められたものの、STAP細胞自体は実在するという説です。 小保方氏自身も、STAP細胞は「何度も確認された真実」と主張しています。   

   この説を支持する人々は、STAP細胞の作製には特殊な技術や条件が必要であり、それが再現できないために存在が否定されていると主張します。
   また、STAP細胞の作製に成功したという研究者もいるとされていますが、その信憑性については議論があります。

3. 事件の真相は隠蔽されている

   STAP細胞事件の真相は、政府や理化学研究所によって意図的に隠蔽されているという説です。
   特に、STAP細胞の特許権に関する情報が公開されていないことを根拠に、ディープステートや国家レベルでの隠蔽工作が行われていると主張する人もいます。   

   この陰謀論は、STAP細胞事件の調査過程における情報公開の不十分さや、事件に関与したとされる人物たちのその後に対する不信感などが背景にあると考えられます。

陰謀論の信憑性と情報源

これらの陰謀論は、インターネット上のウェブサイトやブログ記事などで広まりました。
しかし、これらの情報源の信頼性については疑問視する声もあります。
情報源の中には、根拠が曖昧なものや、個人的な憶測に基づいたものも含まれており、注意が必要です。 

ハーバード大学の特許申請

STAP細胞の特許に関しては、ハーバード大学医学大学院のチャールズ・バカンティ教授らが米国で特許を取得しているという情報があります。 バカンティ教授は、STAP細胞論文の共著者の一人であり、論文の信頼性を擁護する立場をとっていました。

この特許は、大腸菌やヒトのiPS細胞を使ってSTAP細胞を作製する方法に関するもので、2014年11月20日に出願され、2020年10月20日に登録されたとされています。  

しかし、STAP細胞の存在自体が否定されている現状では、この特許の内容も誤りである可能性が高いと考えられます。 特許の内容が真実であるとすれば、STAP細胞の作製方法が確立されていることになり、事件の真相は大きく変わる可能性があります。  

ハーバード大学が申請したのは Oct4と呼ばれる細胞の作成手順

STAP細胞の申請許可はされていません。その特許の内容はSTAP細胞ではなくて単なるOct4細胞の作成手順です。
STAP細胞といえるものはいまだ樹立しておらず、また小保方氏が却下されたのは論文不正で、理研も検証実験で存在の根拠が見つからなかったと結論付けています。

2024年4月の特許申請内容
https://patents.google.com/patent/US11963977B2/en?oq=11963977

STAP細胞研究に関わった研究者たちの現在の状況

STAP細胞事件後、中心人物であった小保方晴子氏と笹井芳樹氏は、それぞれ異なる道を歩むことになりました。

• 小保方晴子氏

  小保方氏は、理化学研究所を退職後、手記『あの日』 を出版し、STAP細胞事件の真相について自身の見解を述べています。 手記では、研究室での実験の様子や、論文執筆の過程、そして事件発覚後の心境などが赤裸々に綴られています。
  その後、メディアへの露出は控えており、現在の活動状況は不明です。

• 笹井芳樹氏

  STAP細胞論文の共著者であり、小保方氏の指導役でもあった笹井芳樹氏は、事件の責任を取り、2014年8月に自殺しました。
  笹井氏は、発生生物学の分野で世界的に renowned な研究者であり、STAP細胞の研究にも大きな期待を寄せていました。

  笹井氏は、STAP細胞の存在を信じ、小保方氏を擁護していましたが、事件の渦中でマスコミからのバッシングや理化学研究所内部からの批判にさらされ、精神的に追い詰められていったとされています。

一方、STAP細胞論文の共著者である若山照彦氏は、現在も山梨大学で教鞭を執り、哺乳類の発生工学に関する研究を続けています。
若山氏は、STAP細胞の作製に重要な役割を果たしたとされていますが、事件後は小保方氏と対立し、論文の撤回を呼びかけていました。 

STAP細胞に関する最新の研究動向

STAP細胞事件後、STAP細胞の再現性を検証する研究が国内外で行われましたが、いずれも成功には至っていません。
例えば、ネイチャー誌に掲載された論文では、4カ国7つの研究チームによる133回に及ぶ再現実験でもSTAP細胞作製は失敗に終わったと報告されています。 

科学界では、STAP細胞は存在しないと結論づけられており、現在、STAP細胞に関する研究はほとんど行われていません。 一方で、STAP細胞事件をきっかけに、研究不正の防止や研究倫理に関する議論が活発化しました。

結論

STAP細胞事件は、日本の科学史に残る大きなスキャンダルとなりました。事件の真相は未だに解明されておらず、様々な陰謀論が飛び交っています。
ハーバード大学がSTAP細胞の特許を取得しているという情報もありますが、STAP細胞の存在自体が否定されている現状では、特許の内容の信憑性も低いと考えられます。

STAP細胞事件は、科学研究における倫理や責任、そして研究不正の防止について、改めて考えさせられる出来事でした。
この事件を教訓に、日本の科学界は、研究倫理の向上、研究不正の防止、そして研究の透明性確保に向けた取り組みを強化していく必要があります。

しかし、STAP細胞事件は、単なる研究不正事件として片付けることはできません。
事件の背景には、日本の科学界における競争の激化、成果主義、そして若手研究者の育成不足など、様々な問題が潜んでいます。
これらの問題を解決しない限り、STAP細胞事件のような出来事が再び起こる可能性は否定できません。

STAP細胞事件は、私たちに多くの課題を突きつけました。科学技術の発展と社会の信頼を両立させるためには、科学者、研究機関、そして社会全体が、この事件から教訓を学び、未来に向けて進んでいく必要があります。

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