近年、ハリウッドを中心に、セレブリティやエリート層が関与するカニバリズム（人肉食）の陰謀論が囁かれています。
この記事では、この陰謀論の詳細、起源、支持者、証拠、反対意見、そしてその背後にある心理的・社会的要因について考察していきます。
さて、あなたはこの噂がリアルだ（真実）と思いますか？陰謀論だと思いますか？
アドレノクロム
ハリウッドで囁かれるカニバリズム陰謀論の中で、最も有名なものが「アドレノクロム陰謀論」です。
1956年、フランスの医師アルフレッド・ヴルピアンは、哺乳類の副腎から抽出したエピネフリンが空気に触れると赤みを帯びることに気づきました。
これがアドレノクロムの最初の発見であり、その後、1937年にアメリカの生化学者デヴィッド・エズラ・グリーンとイギリスの神経科学者デレク・リヒターによって、酸化されたエピネフリンの結晶形が分離され、アドレノクロムと名付けられました。
1950年代には、カナダの精神科医エイブラム・ホッファーとハンフリー・オズモンドが、統合失調症の症状とメスカリン（幻覚剤）の効果の類似性に注目し、アドレナリンに関連する物質が統合失調症の原因ではないかと考えました。
彼らは、体内で生成される統合失調症様の症状を引き起こす物質としてアドレノクロムを特定し、自らアドレノクロムを摂取して幻覚作用を確認したと主張しました。 しかし、この「アドレノクロム仮説」は、医学界では支持を得られませんでした。
この陰謀論は、アドレノクロムと呼ばれる物質が、若返り効果や麻薬効果を持つ「究極のドラッグ」であり、それを得るためにセレブリティやエリート層が子供を誘拐し、拷問してアドレノクロムを抽出しているというものです。
アドレノクロムは、アドレナリンの酸化によって生成される化合物ですが、この陰謀論では、生きた人間の血液、特に恐怖を感じている子供の血液から抽出されたアドレノクロムが最も効果が高いとされています。
永遠の若さを追い求める欲望と死への恐怖は、人間の根源的な欲求であり、アドレノクロム陰謀論が人々を惹きつける要因の一つと言えるでしょう。
若返り効果を持つとされるアドレノクロムは、これらの欲求につけ込み、陰謀論をより魅力的に見せている可能性があります。
この陰謀論は、映画「アドレノクロム」 でも描かれており、政治、経済、芸能界など、世界の闇に蠢く黒い噂や陰謀論と結びつけられています。
秘密結社や悪魔崇拝者がアドレノクロムの流通に関与しているという噂もあり、「悪魔の薬」とも呼ばれています。
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アドレノクロム支持者としてよく名前が上がる有名人
- トム・ハンクス
陰謀論者は、トム・ハンクスが汚染されたアドレノクロムを摂取したことでCOVID-19に感染したと主張しています。 - エレン・デジェネレス
トークショーの司会者として知られるエレン・デジェネレスも、アドレノクロム中毒者として告発されています。 - レディー・ガガ
レディー・ガガは、2013年に行われたパフォーマンスアートが、アドレノクロムや悪魔崇拝に関連する儀式だと解釈され、陰謀論の対象となっています。 - マーク・ザッカーバーグ
FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグも、この陰謀論に巻き込まれ、関与を疑われています。 - オプラ・ウィンフリー
有名なトークショーの司会者であるオプラ・ウィンフリーも、陰謀論者から名指しで非難されています。 - ヒラリー・クリントン
政治家であるヒラリー・クリントンは、以前から様々な陰謀論の対象となっており、アドレノクロム陰謀論にも関連付けられています。
これらの有名人の他に、サンドラ・ブロック、マイケル・ラパポート、ショーン・コムズ（Diddy）、ビル・ゲイツ、ナンシー・ペロシなども、アドレノクロム陰謀論に関連付けられることがあります。
これらの情報は陰謀論に基づくものであり、客観的な証拠はありません。有名人の言動や外見の変化、あるいは過去の出来事などを恣意的に解釈し、陰謀論に結びつけているケースが多いと考えられます。
ロサンゼルスの山火事との関連性
また、2025年1月に起きたロサンゼルスの山火事はこれらの証拠を消すために意図的にしかけられたという陰謀論もあります。
悪魔崇拝者やエリート層が子供を虐待し、アドレノクロムを採取しているという主張が共通しています。
彼らは、山火事の発生場所や被害状況などを根拠に、意図的に火災を起こして証拠を隠滅している、あるいは山火事を利用して子供を誘拐し、アドレノクロムを採取しているなどと主張しています。
例えば、山火事が高速鉄道の建設予定地で発生しているのは、建設用地を確保するために意図的に火災を起こしている証拠だと主張しています。
また、「指向性エネルギー兵器」と呼ばれる兵器で山火事を発生させているという主張もあります。
しかし、これらの主張を裏付ける証拠は一切存在しません。
陰謀論者が証拠として提示する画像の中には、実際にはミシガン州の石油精製所で行われた規制された焼却作業の画像や、2014年7月にイスラエルとガザ地区の間で起きた軍事衝突の画像が含まれているなど、 情報が恣意的に解釈されたり、捏造されたりしているケースも少なくありません。
陰謀論の起源と支持者
アドレノクロム陰謀論の起源は明確ではありませんが、1990年代後半にインターネット上で広まり始めたと言われています。
QAnonなどの陰謀論グループが、この陰謀論を拡散している主要な支持者です。
彼らは、自分たちが「真実」を知っており、ハリウッドのエリート層の悪事を暴露しようとしていると主張しています。
陰謀論の「証拠」と反対意見
陰謀論の支持者は、以下のようなものを「証拠」として提示することがあります。
- セレブリティの奇妙な言動や外見の変化
- ハリウッド映画や音楽に隠されたメッセージやシンボル
- 児童虐待や人身売買に関する統計データ
しかし、これらの「証拠」は、以下のようないくつかの問題点があります。
- 解釈の多様性
提示された「証拠」は、解釈次第でどうにでもとれるものであり、客観的な証拠とは言えません。例えば、セレブリティの奇妙な言動は、単なる個性やパフォーマンスと解釈することもできます。 - 文脈の無視
陰謀論者は、都合の良い情報だけを切り取り、文脈を無視することがあります。例えば、ハリウッド映画に隠されたメッセージは、作品全体のテーマや意図を無視して解釈されている可能性があります。 - 科学的根拠の欠如
アドレノクロムに若返り効果や麻薬効果があるという科学的根拠はありません。 陰謀論者は、科学的な裏付けがないまま、アドレノクロムの効果を主張しています。 - 具体的な証拠の欠如: 子供の人身売買や誘拐に関する具体的な証拠は提示されていません。 陰謀論者は、具体的な証拠を示すことなく、子供たちが犠牲になっていると主張しています。
陰謀論の影響
陰謀論は、人々の考え方や行動に様々な影響を与えます。
- 偏見や差別
特定の集団に対する偏見や差別を助長する可能性があります。アドレノクロム陰謀論の場合、ユダヤ人やエリート層に対する偏見や差別を助長する可能性があります。 - 不信感
政府やメディア、専門家などに対する不信感を増幅させる可能性があります。陰謀論を信じる人々は、公式な情報源を信用せず、陰謀論者の主張を鵜呑みにする傾向があります。 - 暴力
陰謀論に基づいた暴力行為や犯罪行為を引き起こす可能性があります。陰謀論によって扇動された人々が、特定の集団や個人に対して攻撃的な行動をとる可能性があります。
信頼できる情報源
陰謀論に惑わされないためには、信頼できる情報源から情報を得ることが重要です。公的機関や学術機関、信頼できるメディアなどが提供する情報を確認しましょう。情報源の信頼性を判断する際には、以下の点に注意することが重要です。
- 情報源の権威性: 情報源が、その分野の専門家や権威ある機関であるかを確認しましょう。
- 情報の正確性: 情報が、事実に基づいており、正確であるかを確認しましょう。
- 情報の客観性: 情報が、特定の立場や意見に偏っていないかを確認しましょう。
- 情報の最新性: 情報が、最新のものであるかを確認しましょう。
結論
ハリウッドで囁かれるカニバリズム陰謀論は、客観的な証拠に乏しく、反ユダヤ主義や差別的な思想と結びついている可能性があります。
また、人々の不安や恐怖につけ込み、偏見や差別、不信感、暴力を助長する可能性も孕んでいます。
陰謀論に惑わされないためには、批判的な思考力を養い、信頼できる情報源から情報を得ることが重要です。
情報源の権威性、正確性、客観性、最新性を確認し、多角的な視点から情報を吟味することで、陰謀論の真偽を見極めることができるでしょう。
